1:背中最強種目、デッドリフトとは?!
デッドリフトは
大胸筋を除く多くの筋肉を刺激する効果がある稼働筋肉の多い
優れた種目ですが、それだけに難易度は高く、またその動きから「腰に悪そう」「腰痛が・・・」と敬遠もされがちなのがデッドリフト。だが
正しいフォームさえ確実に身につければ、すでに腰痛がある人でなければむしろ、背中の筋肉を強化する事で腰回りの体幹を強化する効果
があります。
ではいよいよデッドリフト基本フォームの解説だ!
2:基本の足幅と足を置く位置
腰幅かやや広めぐらいに立ちます。そしてデッドリフトの基本フォームで最初に最も押さえておかなければ行けないポイントが足を置く位置です。だいたいつま先か前足部がバーベルシャフトの下に来るようにセットしますが、脚の長さなど体形によって調整が必要です。次の二つのポイントをチェック!
- 前すぎるとリフトした時にバーベルシャフトが膝に当たる
- 後ろすぎると前のめりになり腰への負担が増す
後ろすぎてバーベルと足の位置の間が空きすぎると腰を痛めやすい。逆に近すぎても重心が後ろになってしまうので×。
バーベルが置かれている位置から前後移動なしにそのまま真っ直ぐ上がるポジション
を見つけよう。腕で引っ張り上げるのではなくスクワットのように股関節、つまり
ようにリフトする。完全な垂直線上に挙げる必要はないが、できる限りバーベルが体に沿って挙がっていくのがよい。
次はバーベルを握る方法について解説!
3:グリップ方法
基本は順手(バーベルを握った時手の甲が前に向いている)で握ります。しかし高重量になってくるとデッドリフトならではの問題があります。
それは
高重量になるほど握力が追いつかず
バーベルを握り続ける事が困難になり、デッドリフトそのものを限界まで追い込めない事です。そのため下のようなオルタネイテッドグリップというデッドリフトならではのグリップテクニックでシャフトを握ったり、リストストラップという器具を利用します(→握力強化の筋トレ)。
リストラップを使えばより高重量を上げる事ができる。デッドリフトの本格度アップ!
※できるだけ左のような革製のものを選ぼう。薄いナイロン系はくいこんで痛いときがある。値段で決めない方がよい。
→リストストラップの使い方とオルタネイトグリップのしくみ解説
グリップ幅は、
でもよい。
グリップ幅を広くとるほど股関節の屈曲が大きくなり稼動域が広くなりキツくなる。
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次はデッドリフトの最も重要ポイントであり要である体幹の使い方について解説。この体幹のコントロールでデッドリフトが変わります。
4:最強の体幹トレーニング?!デッドリフトの体幹と呼吸
スタートポジションで
骨盤をしっかり前傾させ背筋を真っ直ぐ
な状態を維持します。そして大きく息を吸い込むとと同時にお腹をへこませ、一気にリフトしながら吐きます。高重量なら膝ぐらいまで息を止めたまま挙げます。
デッドリフト、スクワット、ベンチプレス共通の体幹呼吸方法とは
鼻から一気に息を吸いながらお腹をぐっと引っ込めることによって腹直筋の両側にある横向きに筋線維が走っている腹横筋(→腹横筋とは)が収縮してベルトのように締まり
腹内圧が高まり腰回りを固定して保護し体幹が安定
し、腰の故障を防ぎます(→スクワットと腰・体幹)。5RM以上の高重量でやるようになると体験できますが、上げる瞬間腹筋群がギューッと収縮し、横腹がツりそうになることもあります。10RMくらいでも限界回数くらいで体験できます。つまりデッドリフトこそ最強の体幹トレーニングと言えそうです。
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さて、デッドリフトのフォームはマスターできたかな?初級者が最初にぶつかる1番の問題がやはり足のポジショニングと股関節のコントロールだと思いますが、的確にセットできれば背中から大殿筋・ハムストリングスなど股関節裏側まで背中側全体をがっちり刺激することができるぞ。
→膝にバーベルがぶつからない!デッドリフトバリエーションはこちら
だがフォームはマスターしたつもりなんだけど
「途中までハムストリングスにけっこう効くんですが最後の方はどうしてもハムストリングスや大殿筋から緊張が抜けてしまう」
ということがデッドリフトではありがちです。なぜか?!次はフォーム作りをさらに深めるための"デッドリフト理論"を展開してみよう。
5:円運動とデッドリフト
円運動と負荷の関係とは
なぜ途中からハムストリングスや大殿筋から緊張が抜けてしまうのか。これはデッドリフトにおける大殿筋やハムストリングスの動きは
股関節を支点とする円運動
である点に原因があります。これはデッドリフトに限らずアームカールやサイドレイズ、レッグエクステンションのような円運動種目はもちろんダンベルベンチプレスやスクワット他ほとんどあらゆる種目でも部分的に同じ事が言えます。フリーウエイトトレーニングというのは基本的に下向きの重力に逆らって持ち上げる事によって抵抗負荷がかかるので、重力と同じ鉛直方向に運動を続ける=真っすぐ上げ続ければ最後まで負荷がかかり続けます。
ところが円運動では、上右図のように稼働域内で運動方向(角度)が変化します。
デッドリフトは円運動?
デッドリフトの場合、スタート時は上右図のA点に近いですが、トップレンジになるほど運動の向きが水平になっていき(図B点)、運動方向に反する抵抗がなくっていくのでハムストリングスや大殿筋など股関節(→股関節)の伸展筋にはあまり抵抗負荷がかからなくなっていきます。
※デッドリフトでのトップレンジでは、僧帽筋の挙上方向の負荷は最も高くなる(→肩甲骨)ので、股関節周辺よりも僧帽筋や脊柱起立筋上部など肩甲骨周辺を意識してフィニッシュでググっと胸をはってみよう。
バックエクステンションなら逆に最後の方でハムストリングスや大殿筋に緊張をかけることができます。
※ベンチの角度にもよる。例えば下の二種類のベンチで右のタイプはフィニッシュで体が水平になる(運動方向が上向き鉛直方向)ので股関節筋への負荷のかかり方はA点に近くなる。
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★厳密にはテコの原理や回転力(トルク)の話になりますがややしくなる(ワタクシが)ので省略します。
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フィニッシュで胸をはる?
また、デッドリフトのフィニッシュで胸をググッとはるように肩甲骨を内転(→肩甲骨の働き)させると僧帽筋や肩甲骨周辺の筋肉により効くようなな感じがします。しかし
肩甲骨は、胸をはって内転すると、同時に下制=下がる
ように動きます。しかも内転動作はさきほどの上図のB方向つまり横向きなので、フィニッシュで胸をはっても特別僧帽筋に効くという事はないです。ただしデッドリフトの動作中は常に肩甲骨が挙上方向に負荷がかかり続けているので僧帽筋もデッドリフトできたえられます(→僧帽筋のトレーニング)。
※パワーリフティングのルールでは、肩を返す、つまり肩甲骨を内転下制するまでで正式記録となります。その前で止まってしまうと失格。
さてここまでのデッドリフトの解説の中で、股関節や体幹の使い方、ウエイトの軌道などスクワットと似てるなあ、と思った方もいるでしょうか?そこで最後にスクワットとの違いについても考えてみましょう。
6:スクワットとデッドリフトとの違いとは?
2の基本フォームで解説したように、デッドリフトとスクワット股関節の使い方がほとんど同じですが大きな違いがあります。それは前項の「円運動の負荷のかかり方」にあります。スクワットはウエイトを肩上に担いでほぼ垂直線上を上下動作するので脚の稼動域と動作距離が大きのに対し、デッドリフトはウエイトを腕ぶら下げ股関節中心の円運動の要素が大きく上下動が少ない。
- スクワット・・・垂直方向の上下動=脚の稼動量が多く下半身中心、高重心
- デッドリフト・・・股関節を中心支店とする円運動=背中中心、低重心
なのでデッドリフトはスクワットに比べて安定感が高く高重量が挙ります。さらに下半身に加え「腕で引き上げる」動作のために背中の筋肉が多く使われるため背中を高重量で鍛えられる最強種目 = 「死のリフト」などと言われるのです!
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結び
どうだったかな?デッドリフトは初級者にはちょっと難易度が高いですが、体幹トレーニングとしても優れたトレーニングです。スクワットがマスターできたらぜひデッドリフトにもチャレンジしてください。
しかしどうしても膝がじゃま、脚が長過ぎて深く下ろせない、など通常のデッドリフトがなじまないと言う場合には続いてのデッドリフトのバリエーションをやってみよう。