1:腕立て伏せにはこんな効果がある!
こんな感じの腕立て伏せしてませんか? 結論から言うとこの腕立て伏せはあまり正しいとは言えません。論理的に理由があれば別ですが、何もなくただ「毎日何十回、何100回とにかくやれっ!!」なんていうのはもってのほかです(→筋トレの回数について)。
腕立て伏せに限らず
筋トレには目的・理由・理論に基づいた正しいフォームや回数・負荷設定というものがある
のです! では上の腕立て伏せの何がダメなのでしょうか? このやり方でほとんどの人が
腕ばかり使って腕の筋肉ばかりが筋肉痛になった
のではないでしょうか。「肩が痛くなった」という人もいるかもしれません。これはこのフォームが体幹の大胸筋を使えないフォームだからです。
肩から腕を前に押し出すのに働く筋肉は体幹筋である大胸筋
なので、
上のような大胸筋を使えないフォームで腕立て伏せを行うと肩や肘関節などにストレスがかかってしまう
のです。腕立て伏せはもちろんスクワットなどの筋トレの目的の一つには体幹(胴体)から手脚の複数の関節を動かす体の使い方をトレーニングする効果があり、そこが理解されていないとこのような誤った腕立て伏せになってしまうのです(→スクワットと体幹)。
そう、腕立て伏せの1番の目的は体幹の胸を鍛えることにあるのです。
- ★明確な目的と効果があるからこそ正しいフォームを確立できる!!

では"正しい腕立て伏せ"のディープな世界に入っていこう!
2:腕立て伏せの基本フォーム
正しい腕立て伏せとはこれだ!
まずは筋トレの目的が明確な、という意味での"正しい"腕立て伏せとは上のアニメのような腕立て伏せです。
では詳しく解説していこう!
前方を見る!?腕立て伏せの常識を疑え!
え?前?・・・そう、前です。腕立て伏せと言えばたいがいは下をむいてやっていたでしょう。下を見ると背中が丸まり大胸筋に効きません。
無理に首を起こす必要はないですができるだけアゴを上げて前方を見るようにします。腹筋も意識して足から首まで1本の棒のようにピーンと固定しましょう。
→体幹トレーニング基本エクササイズ
- ★下ろした所=伏せの所で背中を丸めず肩を引いて(→肩甲骨の内転)胸を張り大胸筋をストレッチ!
- ★挙げ下げの動作中胸を張った状態を維持し、腹筋も意識して足から首まで1本の棒のようにピーンと固定!

正面からフォームをチェック!
右の絵のように腕が地面と平行になる時に肘と手が地面と直角になるように(これより少し広めでもよい)調節します。鏡をみながらやるとよいでしょう。どんな筋トレでも鏡は必須アイテムです!
→こんな腕立て伏せはダメだ!NG集はこちら
肩の角度と手の位置
右の絵を見てください。手を置く位置は、下ろした時に肩の水平ラインと腕の角度がだいたい30°~60°くらいになるように調節しよう。
腕が水平になった状態で腕立て伏せをやると大胸筋にあまり効かないばかりか肩を痛める
可能性があります。逆に脇をしめてやる方法も、軌道が窮屈になって大胸筋があまり使えなくなり肩や肘に負荷がかかりすぎ痛める可能性があります。
ではなぜ肩を水平にして腕立て伏せをすると肩を痛めやすいのか?
肩関節の後方稼動域と安全性とは
水平の状態の時と、角度をつけた時と、どちらがより後方に深く引けるか試してみよう。水平の時の方が、何か肩にひっかかるような感じがしてあまり後方には引けないはずだ。安全を考えるならやはり角度をつけて肩の稼働域を大きくするのがベストだ。
▼こちらも!
ではさらに肩の稼動域について詳しくみていこう。そして完璧な腕立て伏せにするための重要ポイントを解説!
3:腕立て伏せの手の向きと肩の稼働域
肩の稼動域と強度
筋肉への負荷を強くする方法の一つとして「稼働域を広げる」という考え方があります。
稼働域とは文字どおり筋肉が稼働する範囲の事で、その稼動域を広げる事で負荷を高くすることができます。腕立て伏せの場合なら、上左のように手の部分だけを本やプッシュアップバーのような器具で高くする事により、体をより深く下ろす事ができるようになります。
これによって大胸筋の稼働域が広がって、より負荷をかける事ができます。右のように稼働域を狭くすると楽になり筋肉に十分負荷をかけることができません。
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手の向きと稼動域
さらに上の絵を見てください。腕立て伏せでよくやってしまいがちなのが手を内側に向ける"いわゆる腕立て伏せ"的なやり。しかし内側に向けすぎると肘が外に張り出してしまい肩も水平になりやすい。その結果、肘の稼働域が大きくなる一方
肩の稼働域が小さくなって大胸筋への負荷が弱く
なってしまいます。左の青丸ように平行にするかむしろ外向けぎみでもかまいません。そもそもの手を内向きでは、2の基本フォームでも解説したの手の位置・幅のポジションを維持する事自体が困難だと思います。
※ダンベルベンチプレスが手を内向きでうまくできるか試してみよう!
4:腕立て伏せの呼吸方法
呼吸方法にも腕立て伏せをさらに効果的にするやり方があります。2の基本フォームで解説した「伏せの状態」の時に左右肩甲骨を寄せながら(→肩甲骨の内転)大きく息を吸い込み胸を張ります。これによって大胸筋がよりしっかりストレッチされます。
大胸筋の収縮を意識して息を吐きながら上がり、上がりきったところでいっきに吐きだします。そして息を吸いながら下ろします。
- ★伏せの所で大きく吸い胸を張る!
- ★息を吐きながら上げ吸いながら下ろす!

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では最後に「腕立て伏せは毎日するもんだ!!」とかたくなに信じている人へ。
5:毎日腕立て伏せ100回?
さて、腕立て伏せとか腹筋とか屈伸みたいな筋トレは毎日100回でも何十回でもやった方がいいんだよ!という人たちにあるあるかんちがいは
「10回3セットとか聞いたことあるけどそれってベンチプレスとかマシンでトレーニングする場合だろ」
というやつです。くわしくは基礎理論か筋トレ基礎の基礎のページをぜひ読んでいただきたいですが、筋トレ、あるいはウエイトトレーニングは
- ★10回前後しかできない限界の負荷!(過大負荷原則、漸進性原則)
- ★休息・回復期が必要→2日か3日に1回!(反復性原則、超回復→超回復とは)

が原則だと言うことです。的確な過大負荷で筋トレすれば、疲労で毎日何十回など絶対にできません。疲労が残ったまま無理に毎日すると、オーバートレーニングになり筋肉が発達するどころか逆に衰えていってしまいます(→超回復とは)。
自宅での腕立て伏せだろうがトレーニングジムでのマシンだろうがバーベルだろうがどれも筋肉に負荷をかけるウエイトトレーニングであるということです。そもそもここまでの"大胸筋を使う正しいフォームの腕立て伏せ"を実際にやってみた人、何回できたでしょうか?
- 回数がたくさんできるということ = 楽なことを繰り返しているだけ
ということを肝に銘じてこれから筋トレにとりくんでください。
▼こちらも!
★腕立て伏せをグレードアップするおすすめ筋トレ器具
プッシュアップバー
腕立て伏せをより効果的にできる必須器具。肩の稼動域が広がり大胸筋への負荷がアップ!このタイプは握りこまなくても安定感がありおすすめ。
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まとめ
とにかくひたすら床を凝視しながら腕立て伏せをしていた人にとっては目からウロコ?だったのではないでしょうか。肩の角度とか手の位置など考えもいたことがなかった人もいるでしょう。今まで「30回ぐらい楽勝!!」などと吠えてた君も「できないわこれ」なんてことになってませんか?
でも大丈夫。そんな人は別に珍しくありません。これこそが正しい筋トレなのです!1回もできなかった方でも後でちゃんとできる方法を解説するのでご安心を。
では三原則にもとづいた簡単なフォームの作成方法をご紹介、その後腕立て伏せの負荷設定法を学びましょう。
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