1:ウオーミングアップの目的と動的ストレッチの基本概念
まず準備運動=ウオーミングアップは何のためにやるのかということを考えてみましょう。
- 心拍数を上げる
- 筋肉の温度を上げる
- 筋肉の柔軟性の向上
- 筋肉に刺激を与えて反応速度向上
基本的な目的はこの4つです。しかし従来準備運動としてやってきた体操ではいずれも不十分なのです。なぜなら
- 心拍数がほとんど上がらない
- 心拍数が上がらなければ筋肉の温度も上がらない
- 筋肉の温度が上がらなければ柔軟性も向上しない
- 筋肉に刺激が与えられず反応が鈍いまんま
なのです!前ページのストレッチ基本解説でも解説したように筋温が上がっていない状態でストレッチなどやっても良い事は何もありません。大事なのは
動きながらいかに柔軟性を発揮できるか
です。
そこで「動的ストレッチ」の登場です!
動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)とは、文字通り
動的に、動いて
ストレッチをします。
動きながら行なう事で上記のウォーミングアップの4つの目的をまとめてクリアーできる
のです。
どうすればよいのか。具体的なメニューは後のページで紹介しますが(→動的ストレッチでウオーミングアップ実践)、まずこれだけは確実にやっとこう、という基本中の基本のウオーミングアップメニューを解説。
2:心拍数を上げる→ランニング
いきなりランニング?!走る前にアキレス腱伸ばしとかしくなていいの?! 心配いりません。そもそもアキレス腱というのはのびる物ではありません(→アキレス腱は伸びない?)。
ゆっくり軽いペースでよいのです。その場で足踏み程度でもかまいません。ようは
じょじょに心拍数が上がって行く
ような運動なら何でも良いのです。
そして心拍数が上がったら・・・
3:肩甲骨を動かす
肩甲骨と肩関節の柔軟性は体幹の安定性に重要です(→体幹と肩甲骨・肩のダイナミックストレッチ)。
4:股関節を動かす
股関節の柔軟性も
体幹の安定性
に重要です(→体幹と股関節のダイナミックストレッチ)。
極端な事を言うと、これら「肩甲骨を動かす」「股関節を動かす」だけでよいのです!時間がなければこの二つを優先順位のトップにしよう。さらにこれを基本に競技特性や目的に応じて必要な箇所を動かし「ウオーミング」していくのです。わからなければラジオ体操もりっぱな動的ストレッチです。ただしラジオ体操は股関節の動きが少ないのが難点です。
▼こちらも!
では動的ストレッチはなぜ効果があるのか?その理論について考えてみよう。
5:ダイナミック(動的)ストレッチのメカニズム
筋肉には一方の筋肉が収縮すれば反対側の筋肉が伸長するという機能があります。
例えば腕を曲げる時、上腕二頭筋(主動筋)が収縮し、反対の上腕三頭筋(拮抗筋)が伸長します。逆に腕を伸ばす時は上腕三頭筋(主動筋)が収縮し、反対の上腕二頭筋(拮抗筋)が伸長します。
この「収縮・伸張」を繰り返す事によって筋肉の動的な柔軟性を引き出して刺激を与えるのがダイナミックストレッチなのです!
→「主動筋」「拮抗筋」って何ですか?
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結び
どうだったかな?いわゆるストレッチ、のばして止めるだけの静的ストレッチが運動前の準備運動として行なわれた事は、スポーツの現場ではワタクシの知る限りありません。メディアを通じて誤解して伝わってしまったのだと思います。
ではウオーミングアップで心拍数を上げる事でどんな効果が得られるのか?次ぎはそれを考えてみよう。アップに対する考えが劇的に変わってくるぞ!