1:早わかり!エネルギー代謝アニメーションマップ
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さてこれまで解説してきた糖質、脂質、クレアチン、乳酸、以外にもいろいろな要素が登場しています。そのうち特にピルビン酸、アミノ酸、ケトン体について解説しましょう。
2:解説
ピルビン酸
有酸素系=脂質代謝には
ピルビン酸、つまりブトウ糖=糖質も必要
だという事がおわかりいただけましたでしょうか?
ブドウ糖(グルコース)からピルビン酸になるまでの経路は→一本に省略してますが、実際はこの間に何段階かあってピルビン酸になるまでに逆にATPの消費もします。よって最も単純なのがクレアチンリン酸系で最も複雑なのが有酸素系だということになります。
有酸素系は複雑な分効率的にATPを合成することができ、その量は
解糖系のおよそ20倍
にもなり長時間の運動継続が可能ですが、やはり複雑な分時間もかかります。つまり緊急性のない運動強度の低い時は有酸素系でゆっくりと、強度が高くて急ぎになるほど酸素がいらない解糖系、さらにはブドウ糖(グルコース)もいらないクレアチンリン酸系(ATP-CP系)へと強度が高いほど単純な経路に自動的に切り替えられるのです。
- ★ATP-CP系、解糖系、有酸素系それぞれ単独ではなく常にどの系統も働いている。運動強度=心拍数によって、どれがメインになるか変化する
- ★厳密には解糖系と有酸素系も、その経路から直接ATPが生成されるのではない。生成しているのはATP-CP系と同様に細胞中のADP(アデノシン2リン酸)とP(リン酸)を結合するためのエネルギー
※アデノシン2リン酸に1リン酸がくっついてアデノシン3リン酸=ATP
すばらしい超高性能なハイブリッドエンジンではありませんか!!
アミノ酸
筋肉に貯蔵されている筋グリコーゲンや肝臓の肝グリコーゲンが不足してくると、ブドウ糖の供給が不足しピルビン酸を産生すめためのアミノ酸の需要が高まります。そのため糖質エネルギーが足りないときは
筋肉その他のタンパク質を分解してブドウ糖の代わりとなるアミノ酸を増産
します。
乳酸と糖新生
解糖系でピルビン酸から産生された乳酸は血液中に出て肝臓に運ばれ再びピルビン産に変換され糖新生してグルコース(ブドウ糖)になる。
糖新生とは
肝臓内で、アミノ酸・乳酸・ピルビン酸などからグルコースを作る作用。解糖系の逆。
ケトン体と脂肪酸
アセチルCoAから代謝されるケトン体と脂肪酸は
- ケトン体は、肝臓以外の細胞に血流によって運ばれTCA回路に使われる。グルコースが枯渇した時の脳ではグルコースの代わりとして使われる。
- 脂肪酸は脂肪組織に合成される。
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結び
どうだったかな?やや専門的な内容でしたが、筋肉とは状況に応じて三段階の燃焼システムを使い分ける優れた超高性能エンジンである事がご理解いただけたでしょうか。これらの高性能システムをスムーズに作動させるためにもウオーミングアップによる暖気運転が必要なのです。ただ伸ばすだけのストレッチじゃエンジンは温まってはくれません。
→ダイナミックストレッチによるウオーミングアッププログラム
ところで糖質代謝に乳酸というものが出てきましたが、聞いた事あるのではないでしょうか。「乳酸は疲労物質」とも言われますがその正体は?じっくり学びましょう!